(2019/03/28更新 未収録作品集の情報を追記)
麻衣の虫ぐらし、2巻が発売されました。
2018年の10月に1巻が発売され、ネット上では美麗な絵はもちろん、虫と美少女という組み合わせもあって、ちょっとした話題となりました。
その独特の雰囲気が心地よく、何度も繰り返し読んでいたのですが、1巻読み切りの漫画で2巻は出ないものと思っていました。
(まんがくらぶで連載されていたの知らんかった・・・)
まさかの2巻が今月発売されたので、ネタバレはしないように気をつけながらその魅力を紹介します。
2巻で完結してしまったのが本当に残念な良作ですが、別冊として「麻衣の虫ぐらし 来夏と美津羽の特別編」が発売されています。
こちらも必見です。
(2019/03/28追記)
コミックス未収録の作品を集めた短編集が、電子版限定で配信されました。是非こちらもチェックしてみてください。
麻衣の虫ぐらし 感想・レビュー
天真爛漫でいつものほほんな、職探し中の麻衣。
孤独な生い立ちを抱えつつ、祖父とふたり暮らしをしながら、農業を営む菜々子。
この土地に生息する虫の保護活動に力を注ぐ来夏。
虫と戯れ、虫に翻弄される、彼女たちの軽やかな日々。
お父ちゃんの畑を守りたかった。でも、もうその必要もない…。
菜々ちゃんが大切な家族を亡くした。私は悲しみの時間をそっと見守る。
そしてまた2人は、益虫や害虫に囲まれながら、この田畑を耕す。
少女と虫と農業と――完結!!
竹書房の1巻、2巻の商品紹介より。
田舎で就職活動中の麻衣と、祖父との二人暮らしで祖父の畑を切り盛りする奈々の美少女二人が主人公です。
特に麻衣は美少女かつ若干エロティックに描かれています。
麻衣の美少女っぷりはその過去にも関係してくるのですが、2巻のネタバレになってしまうのでここでは割愛。
物語は奈々の畑仕事を麻衣が手伝うという形で主に展開していき、ナミテントウ、チャノミガなどの虫との関わりが描かれます。
農業や虫に関わるうんちくというか雑学が丁寧に書かれており面白いです。
害虫駆除に使うために捕まえたテントウムシを飛べないように接着剤で羽を固めたり、細菌の農薬で蛾の幼虫を殺虫したりとか。
虫が主役というよりは、農業に絡めて虫が登場してくる回が多いですね。
自然保護活動をしている来夏との関わりで天然記念物のヒメギフチョウなど珍しい虫も登場します。
農業や虫の知識も面白いのですが、この作品の魅力は個性的なキャラクターたちとヒューマンドラマ的な部分にもあります。
奈々は麻衣が大好き・・・というか少し百合の気があり、麻衣はとびきりの美少女だけどズボラだったり、だけど過去描写の中ではお嬢様であり・・・。
来夏や2巻から登場する美津羽もどこか普通の人ではなさそうな描写があったり・・・。
特に麻衣と他のキャラとの掛け合いはクスリと笑えるユーモアがあります。
奈々のおじいさんは病気で余命宣告されているのですが、奈々を思うおじいさん、麻衣を慕う奈々、その奈々の気持ちを思う麻衣と人間ドラマも見どころのひとつです。
特に2巻ではそのあたりのシリアス要素が強くなっています。
また、1巻でも漂う「百合の気配」ですが、2巻ではより濃くなっており、これもこの作品の魅力です。
色っぽい表紙から少しエッチな内容を想像してしまうかもしれませんが、そういう描写はないです。
しかし露骨な描写はないのですが、たまにチラリズムをくすぐるようなサービス描写だったり、扉絵で水着や着替えシーンなどがあります。
だいたいが麻衣ですね。2巻ではキャバクラでバイトをするので胸や足を強調した絵もあったり・・・。
別にエロくはないのですが、アクセントになっていて良いと思いましたね、私も男ですからね。。。
表紙の絵からエロ目線で購入しても、良い意味で裏切られるので良いと思いますよ(笑)。
雨がっぱ少女群とは
少し作者についても紹介します。
元々は成人向けマンガ雑誌である「COMIC LO」で漫画を描いていた成人漫画家です。
まぁ、少年漫画でも成人漫画出身の漫画家は多くなってきましたから珍しくはないですね。
成人漫画出身者のほとんどがそうであるように、この作者も画力が高いです。
キャラクターから背景まで緻密に丁寧に描かれている印象を受けます。
私も「麻衣の虫ぐらし」で初めて知ったのですが、成人向け漫画の時から「少女と生と死」をテーマにした作品でコアなファンが多かったそうです。
調べてみるとホラー系の絵も描かれていますね。
現在はWebコミックガンマで「彼岸の唄」という作品を連載されていますので、こちらもチェックしてみてくださいね。
ちなみに作者のツイッターを見ると、虫ぐらしのネタ出しに苦労していたみたいです・・・。
読書の習慣がある人は幸福度が高い、らしい。