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2021年8月に読んだ本について。
- 書籍は付箋を貼った要点メモ
- 小説、漫画は感想を一言
8月は書籍5冊、小説2冊、漫画1冊でした。
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書籍
無理ゲー社会 | |
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著者 | 橘 玲 |
発売日 | 2021/7/29 |
個人評価 | ファクトに基づいた考え方が分かりやすい |
才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア。誰もが「知能と努力」によって成功できるメリトクラシー社会では、知能格差が経済格差に直結する。
- 「上級国民/下級国民」「言ってはいけない」や小説「タックスヘイブン」の著者
- 有名な「欲求の5段階説」では、人間は「生理的欲求」や「安全の欲求」などの基本的欲求が満たされると、「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」などのより高次の欲求を求めるようになるとする。
- 19世紀のドイツ精神科医のフレデリック・パールズは、フロイトと決別し「過去ではない現在」を重視するゲシュタルト心理学を創始した。
- 能力に違いがある場合、公平(機会平等)と平等(結果平等)は原理的に成立しない。
- 行動遺伝学では知能だけでなく努力にも遺伝の影響があるとする。遺伝率は「やる気」が57%、「集中力」が44%である。
- なんの落ち度もない被害者が救済されないのは公正世界信念に反するため、強い不安を引き起こす。そこから逃れるため「実は被害者に責任がある」と認知を変えて「公正世界」を回復しようとする。
- 女を男に分配する社会の機能が失われると、恋愛の本質である「男は競争し、女が選択する」が顕在化してくる。その結果、アルファをめぐる女たちの競争がより熾烈になる。
- 自分より優れた人と比べるのが「上方比較」で劣った人と比べるのが「下方比較」であり、人間は上方比較を「損(罰)」、下方比較を「得(報酬)」と感じる。
「日本型格差社会」からの脱却 | |
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著者 | 岩田 規久男 |
発売日 | 2021/7/13 |
個人評価 | 専門的で結構難しい |
日本は信じられないくらい「貧しい国」になってしまった。元日銀副総裁による日本社会への警告と成長への処方箋。
- これまでの施策の分析と問題の提示、そこからの改善案提案という流れ。専門的な内容が深堀されているので結構難しい。
- 戦後、デフレを経験した国は日本しかない。
- 日本の従属人口指数は上がり続けており、2030年には1.9人で1人の高齢者を支え、2050年には1.4人で1人の高齢者を支えなければならない。
- 日本の所得税制は資本所得を優遇しすぎているため、累進制(所得が増加するにつれて税率が上昇する税制)が大きく浸食されている。そのため資本所得の割合が高い経営者などの税率負担は一般の人よりも低い可能性がある。
- 著者の知人の中には「老後は生活保護を受けるつもりだから」と国民年金保険料を納めていないものがおり、実際に生活保護を受けている高齢者の35%は無年金者である。
- 年金の世代間格差が生まれるのは「修正賦課方式」のため。少子化が進む社会では成立しない。
- 現在の厚生年金のいわゆる「100年安心プラン」では2035年までに保険料を24.8%まで引き上げなければならないという試算がある。これは1960年ごろの7倍である。
- 退職金税制では、勤続年数が20年を超えると控除額が超えた年数に70万円をかけた金額が退職金から控除され、その控除額の金額の半分が課税所得になるという破格の優遇措置がある。これは自己都合退職や転職を不利にする制度である。
- 正規社員の雇用を定年まで保証し、年功序列沈金制度を適用すれば、賃金に見合った仕事をしなくなる人が少なからず現れる。
- 教育訓練給付制度は大きく拡充され「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」がある。
- 日本の所得分配の改善は現役世代から高齢者への年金給付や医療費援助によるもので、税による再分配効果と社会保障による現役世代内所得再分配の効果が、ヨーロッパ諸国に比べて小さい。
銀行を淘汰する破壊的企業 | |
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著者 | 山本 康正 |
発売日 | 2021/7/6 |
個人評価 | 分かりやすい |
これからの銀行業界に大きな影響力を持つ世界最先端11社を分析することで、2025年の銀行の姿を読み解く。
- 「2025年を制覇する破壊的企業」の著者
- グーグルは2020年11月、シティバンクなどいくつかのアメリカの銀行との連携を発表。口座開設、入出金、運用などのすべてグーグルペイで完結すると発表した。
- ストライプはペイパル同様に電子決済でシェアを拡大。パソコンの決済ではペイパルが圧倒しているが、モバイル決済ではストライプのシェアが大きい。
- アファームはECで購入する製品のローンを提供。一括で購入するには高いが、銀行やクレジット会社のローンでは利率が高い、または商品を対象としたファイナンスがない場合がある。これらに対しローンを提供する。
- アファームのローン審査は簡便で、これまでのネット上での申請者の購入・支払情報などの信用情報のデータを元に商品ごとの適切な金利を設定する。
- キャベッジは中小企業に対し、資金調達サービス(与信チェック)を行う。全てオンライン上で、与信の可否をデータから判断しているため判断時間が短い。
- ロビンフッドが無料でサービスを提供できているのは、ロビンフッドが証券会社から株を購入する時に、自分のところで買って欲しい証券会社から割当フィーを取っているため。これがロビンフッドの収益源となる。
- 現在の投資信託の購入や売却にかかる各種手数料は時代にマッチしているとはいえない。
楽観論 | |
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著者 | 古市 憲寿 |
発売日 | 2021/8/18 |
個人評価 | 気楽に読めるし面白い |
SNSでもメディアでも、聞こえてくるのは嘆きの声ばかり。だったらせめて、楽観的に捉えてみたらどうだろう。
- 社会学者の古市憲寿さんの週刊新潮での連載に後日譚を交えた本
- 3ページごとに話題が切り替わる短編なので気楽に読めるし、語り口も面白い。
- 社会学者の小熊英二さんとの対談。「未来で評価される人が若者、現在で評価される人が大人、過去で評価される人が老人」です。
- 現代人のミニマリストが奈良時代にタイムスリップしてしまう石川ローズさんの漫画「あをによし、それもよし」
- 社会学者の山田昌弘さんは日本において「消費者は天国、労働者は地獄」という。
- 結局のところ、価値観の大部分は共同幻想である。みんなが価値を感じるものに、人は価値を見出す。
- 世界各地でオーバーツーリズムは問題になっている。
- ほとんどのことは「属性」ではなく「状態」だと思っている。「仕事ができる」「仕事ができない」というのは、その人の生まれつき変えられない「属性」ではなく「状態」なのである。
- 目標を立てるというのも嫌い。それはまだ「自分のもの」ではないにも関わらず、達成できないとなぜか自分が損なわれた気がする。ただ何も手に入れられず、何も失わなかったというだけなのに。
上級国民/下級国民 | |
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著者 | 橘 玲 |
発売日 | 2019/8/1 |
個人評価 | ファクトに基づいた考え方が分かりやすい |
「下級国民」を待ち受けるのは共同体からも性愛からも排除されるという残酷な運命。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。
- 月初に「無理ゲー社会」を読んだので、また読みたくなってBOOK OFFで購入。ちなみに「言ってはいけない」と「もっと言ってはいけない」もついでに買ってしまった。
- 平成の30年をひと言でまとめるなら「日本がどんどん貧乏くさくなった」です。
- 十年残存率(10年後に社員が在職している割合)は30代で7~8割に達し、それ以降は安定的に推移する。30代になると正社員はめったに辞めない。
- 平成の日本の労働市場では「若者(とりわけ男性)」の雇用を破壊することで「中高年(団塊の世代)」の雇用が守られた。
- 平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための30年だったとすれば、令和の前半「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる。
- 福沢諭吉は「学問のすすめ」でこう書いた。人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。
- イギリスと社会学者キャサリン・ハキムは「若い女性は大きなエロス資本(エロティック・キャピタル)を持っており、それを資本市場でマネタイズ(換金)している」と考えた。
- 女性のエロス資本は10代後半からの10年間で最大になって、35歳をすぎるとほぼ消失する。
- あらゆる調査が明らかにしているように、女がモテる最大要素は「若さ」で、男の場合は「カネと権力」すなわち共同体内での地位。
- 高学歴・高収入の専門職同士が結婚することは「同類婚」と呼ばれ、欧米を中心に急速に増えている。
- 恋愛と縁のない若い男性はアメリカではインセル(Incel)と呼ばれる。Involuntary Celibate(非自発的禁欲)のことで、自分ではどうしようもない理由で(非自発的に)禁欲状態になっていることの自虐的な俗語としてネット世界で広まった。
- アメリカの白人は大きく「リベラル」と「プアホワイト」に分かれる。
- リベラルは東部(ニューヨーク、ボストン)や西海岸(ロサンゼルス、サンフランシスコ)などのクリエイティブ都市に住む。
- プアホワイトやホワイトトラッシュと呼ばれる白人は、倒産した工場が放置されるラストベルト(西部地域と大西洋岸中部地域の一部)に住む。
- 知識社会では、ひとびとは「知能」によって分断される。
- お金を分配するように、男に対して女を分配することはできない。少数な魅力的な男(チャド)が多数の魅力的な女(ステイシー)を独占するようになる。
小説
蜜蜂と遠雷(上下巻) | |
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著者 | 恩田陸 |
発売日 | 2019/4/10 |
個人評価 | 途中で飽きかけた |
自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。弾けなくなった栄伝亜夜。サラリーマン・高島明石28歳。優勝候補マサル19歳。天才たちによる競争という名の自らとの闘い。
- 直木三十五賞と本屋大賞を受賞
- 松坂桃李と松岡茉優で映画化(2019年公開)
- 上巻で読むのを止めようと思ったくらい、前半は盛り上がりもなく起伏に欠けた。
- 恋愛要素もありそうで起こらず、なんだかなぁ・・・。
- 文章による音楽の表現は良かったけど、そういう小説はたくさんあるし。
ボーダレス | |
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著者 | 誉田 哲也 |
発売日 | 2021/2/9 |
個人評価 | 途中で飽きかけた |
〈教室の片隅で密かに小説を書く女子高生と、彼女に興味を惹かれる同級生〉〈事故で失明した妹と、彼女を気遣い支える姉〉〈音大入試に挫折して実家の喫茶店を手伝う姉と、彼女に反発する妹〉〈年上の女性に熱い思慕を抱く令嬢〉交わらないはずの彼女たちの人生が一つに繋がるとき、そこに待ち受ける運命とは!?
- ひかりTVオリジナルドラマの原作
- 最初の入りは面白かった。登場人物のひとりである女子高生が書いた小説とリンクするような出だしで最初の事件が始まる。
- ただ、その後の展開は単調。4つの物語がそれぞれ進行し、無理やり(同じ場所に集合させるという)合流させて交わらせるという・・・。
- もっと人生というか、深い背景でそれぞれの物語(と人物)が交わっていれば、と思う。
漫画
ランウェイで笑って(22巻)(最終巻) | |
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著者 | 猪ノ谷言葉 |
発売日 | 2021/8/17 |
個人評価 | ついに完結 |
育人と千雪の「約束」が果たされる日。世界を相手取った舞台で、新時代の風を吹かせられるのか!? 夢を追って走る全ての人に捧げるファッショナブルロマン、感動の終幕!!
- 連載開始からずっと楽しんできた本作もついに完結。
- 大団円のハッピーエンドで完結した。もっとライバルとの闘いとか苦悩とかを描いてほしかったけど、終わり方としては良かったと思う。
- ただ、10年後~とかいうありきたりな終わらせ方は個人的に好きじゃない。進撃の巨人もそうだったけど、読者の想像力に委ねて終わるみたいな方法は最近では少ないのかも?
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読書の習慣がある人は幸福度が高い、らしい。
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