イルカと一緒に泳げたらいいな。誰しもが思ったことがあるこの夢を叶えられる場所が、この日本に、しかも東京都にあるって知っていましたか?
ダイバーや旅行好きの間では、割と知られている島なのですが、普通の人には未だあまり知られていない島だと思います。
御蔵島の話をすると、いつも「え?イルカと一緒に泳げるの?」って驚かれますから。テレビで特集されたりもしてるんですが、なぜか知名度は低いです。
この記事では、初めて御蔵島に行こうと思っている人に向けて、島へのアクセス方法、宿の予約方法、少しでも安くするには?ドルフィンスイムってどんな感じ?泳ぎは苦手だけど大丈夫?など、全てをまとめて紹介したいと思います。
この記事を読んで、ひとりでも多くの人が御蔵島への旅を楽しんでくれることを願って。
御蔵島とドルフィンスイム
御蔵島とは
御蔵島は伊豆諸島に属する、人口300人ほどの小さな島です。住所は東京都、御蔵島村。
島には小学校、中学校はありますが、高校はありません。また、お店も商店が数店舗あるだけでコンビニやスーパーもありません。
狭い地域に島民が集まって暮らしているので、ご近所さんはみんな顔見知り。
東京都でありながら、のんびりと時間が流れる穏やかな島です。でも、以外に子供たちは多いんですよ。決して過疎の村ではありません。
あ、でも保育士さんは不足していて募集も出ていますので、興味があるかたは考えてみてください。御蔵島でも待機児童が出てしまっているようです。
場所は三宅島よりも先、八丈島よりも前。アクセスは主に船です。
東京の竹芝桟橋を夜の22:30に出港して、朝の05:55分に御蔵島に到着します。8時間近くの船の旅・・・遠いようで近く、近いようで遠い。
この船旅も楽しいのですが、それは後ろのページの「色々な楽しみ方」で紹介します。
さて、この御蔵島ですが、野生のミナミハンドウイルカが多数生息していることで有名です。イルカたちはそれぞれが個体識別されて名前が付いています。
ヒレが欠けているから「まえかけ」。口がしゃくれているから「しゃくれ」。とか、個体の特徴が分かる名前が付けられているんですね。
イルカの数は200頭前後とされていますが、この野生のイルカたちと一緒に泳ぐことができるドルフィンスイムが人気なのです。
ドルフィンウォッチングのように船の上から眺めるだけではないのです。実際に海に入って、手が届くような距離で一緒に泳ぐことができるのです。
しかも・・・。
なんと、遭遇率はほぼ100%!
私も今まで出会えなかった回はありません。
毎年、赤ちゃんも産まれるので、子連れのイルカと遊ぶこともできますよ。
ドルフィンスイム
御蔵島でドルフィンスイムが可能なシーズンは、3月下旬から11月上旬くらい。比較的に長いです。
ベストシーズンは6月~10月頭くらいですね。
この時期は水温が高く、ウェットスーツ無しで泳げます。黒潮がぶつかる時期であれば、海の透明度も高く、最高のコンディションとなります。
個人的には9月がベストなのですが、この時期は台風も多いので、8月頭くらいが良いかもしれません。ただし、この時期は他のお客さんも多いですが・・・。
さて、ドルフィンスイムの方法ですが、基本はシュノーケリングになります。
ちょっと長い動画ですが(5分くらい)これを見ればイルカウォッチングの流れや注意事項が分かります。記事を読み終わった後、時間があればチェックしてください。
シュノーケル、ゴーグル、フィン(足ヒレ)を付けての素潜りですね。ダイビングはできません。(禁止されています)
これらの道具ですが、全て島でレンタルできますので、購入していく必要はありません。
購入するとなると機材はそれなりに高いので、まずはレンタルで楽しんでみて、そしてまた御蔵島のイルカたちに会いたいと思ったら自分のものを購入するのがいいと思います。
一応お勧めの機材も紹介しておきます。ネットでも購入できますが、特にフィンは自分の足に合ったものをダイビングショップなどで試着して購入した方が良いと思います。
ひとつだけ、レンタルできないけど、あった方がいいのが「ブーツ」です。
素足に直接フィンを装着しても問題ないのですが、頑張って泳ぐと結構フィンと擦れて痛くなるので、あると快適です。
特にレンタルできるフィンは小さくて泳力があまりないものもあるので、イルカに近づきたくて思いっきり泳いでいると、すぐ足の甲が痛くなります。お金に余裕があれば持っておくと無難です。
次に、どのようにイルカと一緒に泳ぐことができるのか、ざっくりと説明します。
イルカには、港からこんな感じの漁船に乗り込んで会いに行きます。ほとんどは宿泊する宿が出している船に乗ることになります。
定員は宿の出す船にもよりますが、だいたい10人~15人くらいでしょうか。
「行き方・宿泊施設」の箇所でも説明しますが、宿を予約するときに一緒にドルフィンスイムも予約する流れです。
宿で水着に着替えて(寒い時期はウェットスーツも)、海に入る準備をしてから、宿の船で港に向かいます。
さて、港を出港して5分でイルカたちに出会えることもありますし、20分近く出会えないこともあります。こればかりは運次第ですが・・・遭遇率はほぼ100%!
船長さんが操縦席からイルカの群れを探してくれ、見つけたら船で彼らが泳ぐ方向に先回りします。待ち伏せです。
そして、船から海へドボン!目の前をイルカたちが泳いでいく、というわけです。
機嫌が良い時のイルカたちは、数分以上も私たちの回るをグルグル回って遊んでくれます。彼らは好奇心が旺盛なので、人と遊ぶのが好きなんですね。
泳げなくても大丈夫
泳げなくても問題ありません。
泳ぎが苦手な人や、得意であっても、船で沖に出て海に飛び込むことに不安を感じる人は多いでしょう。でも、心配ありません。
もし不安であれば、ウェットスーツを貸りましょう。ウェットスーツは強い浮力があり、水に浮くので、溺れたくても溺れられません。
また、それでも怖い!という人はライフジャケットを借りてもOKです。
水面にぷかぷか浮かんだままでドルフィンスイムをすることができます。潜れなくたっていいんです。イルカたちの方から水面に上がってきてくれますから。
それでも怖い場合は、インストラクターさんが持つ浮き輪に掴まりましょう。実はこれって案外いい方法で、浮き輪を珍しがってイルカの方から近づいてきます。
御蔵島には小さな子連れもたくさん来ますが、もちろん子供でも浮き輪に掴まってドルフィンスイムを楽しむことができますよ。
初めて船から海に飛び込むと、意外に深いことに驚いて怖くなりますが、心配はいりません。インストラクターさんも付いていますし、まず溺れる心配はいりません。
ざっくり総費用
交通費、宿泊費、ドルフィンスイム、機材レンタルなど、ざっくり総費用をまとめます。詳細や節約テクニックは「行き方・宿泊施設・食事処」で紹介していますので、ここでは「だいたいこれくらい」と思ってください。
項目 | 値段 | 備考 | |
---|---|---|---|
交通費 (東海汽船) |
2等 | 7,800円 |
|
特2等 | 11,710円 | ||
宿泊費 | 1室1人 | 8,600円 (9,200円) |
|
1室2~4人 | 7,600円 (8,000円) |
||
ドルフィン スイム |
1回 | 7,300円 |
|
レンタル 機材 |
シュノーケル | 800円 |
|
マスク | 800円 | ||
フィン | 800円 | ||
ウェットスーツ | 2,000円 | ||
総費用 |
30,500円 ~50,620円 |
機材を全部借りて、フルにイルカと泳ぐなら5万円くらい。 |
ここでは全体の費用感をざっくり分かってもらえればと思います。
交通費と宿の詳細は、次の「行き方・宿泊施設・食事処」で紹介します。
特に交通費はネット予約や株主優待を使えば、ぐっと安くなりますので通常料金では購入しないようにしましょう。詳しくは後程紹介します。往復かつ複数人ともなれば、その節約効果は絶大です。
また、食事ですが、島の商店でパンやカップ麺を購入すれば安く済みます。しかし、せっかく旅に来たのだから島の名物を食べましょう!
島の食事処も後で紹介します。
日焼け対策
ちょっとここで、日焼け対策として持っているとよいアイテムを紹介します。
1回のドルフィンスイムで2時間ほどは海の中と船の上にいるので、結構日焼けします。
夏なら水着だけでも泳げますが(女性はビキニだけの人も結構多い)、ラッシュガードやレギンスで肌はなるべく出さないようにしましょう。
頻度は多くないですが、クラゲに刺されるのを防止する効果もあります。
行き方・宿泊施設・食事処
御蔵島へのアクセスは、東海汽船の運行するフェリーだけです。
また、御蔵島への上陸条件として「宿を確保していること」というのがありますので、宿も前もって予約しておきましょう。
ここでは東海汽船にお得な料金で乗船する方法と、御蔵島の各宿の特色、お食事処を紹介します。
一人旅で行くのか、友達たくさんでワイワイと行くのかで選ぶべき宿も変わってきますので、参考にしてみてくださいね。
交通アクセス
東海汽船の船が、東京の竹芝桟橋を22:30発、御蔵島に翌05:55着で運行していますので、これが基本ルートになります。
もうひとつ、羽田から八丈島まで飛行機で行って、そこから東京への戻りの船に乗り、御蔵島で降りる、という方法もあります。
ですが、飛行機の値段を考えると、このルートにメリットがあまりないためここでは紹介しません。
さて、東海汽船の値段ですが、先ほどざっくり紹介した通り、客室によって値段が異なります。
少しでも安くしたい人は2等になりますが、初めての場合、行きだけでも特2等にすることをお勧めします。2等にして寝れなかったりすると、到着後のドルフィンスイムが辛いものになるからです。
2等と特2等の違いはこんな感じ。
2等は畳の上に雑魚寝なのに対し、特2等はカーテン付きのベッドで寝られます。行きは少しでも快適な特2等を選ぶが良いかと思います。
帰りは昼に御蔵島を出港し、夜に東京へ到着するので、2等でも良でしょう。
また、船は「橘丸」「さるびあ丸」の2隻あり、時期によって運行する船が異なります。
基本は橘丸ですが、橘丸がメンテナンスのためドック入りする期間(4月~6月くらい)はさるびあ丸が運行します。
さるびあ丸に比べて橘丸は「揺れが少ない」「ベッド、お手洗いなどの設備が奇麗」「着岸率が高い」などメリット盛沢山なので、調整が可能であるなら、橘丸が運行しているときに旅を計画した方がいいと思います。
東海汽船のネット割引、株主優待
東海汽船の船にはネット予約割引や株主優待を使って乗船することができます。
めちゃくちゃオトクなので、絶対に利用しましょう。
株主優待の方が割引率が遥かに高いので、メルカリやヤフオクなどのネットオークションで必要枚数分を落札するのが良いです。株主になる必要はありません。
繁忙期であれば優待券1枚(片道分)を700円くらいで買うことができます。繁忙期の割引率は25%なので、特2等であれば3,000円ほどの割引になります。
繁忙期でなければ35%の割引率なので、特2等であれば4,000円ほどの割引です。
これを往復分×人数で計算すれば、かなりの節約になることが分かりますよね。東海汽船には株主優待で乗る!忘れないでくださいね。
御蔵島の着岸率(条件付き出港)
着岸率の話が出たので、ここで御蔵島の着岸率の話をしておきます。
御蔵島は港がひとつしかないため、強風の場合の着岸率が非常に悪いです。そのため、常に「条件付き出港」といって、海の状況によっては着岸しません(素通りして八丈島まで行ってしまう)という確約をしてからの乗船になります。
台風が近づけば軒並みNG。風速10メートル程度の風でもアウトになることが多いです。
橘丸はさるびあ丸に比べて新しい船であり、着岸率が向上しているのも利点です。出来れば橘丸の運行期間に行ければ良いでしょう。
なお、着岸したはいいけど、天候が荒れそうだから予定より早く帰ってね、ということも往々にあります。私も何度も早期撤退を余儀なくされました。
こればっかりは運なので、どうしようもありません。人間は、天候には勝てないのです・・・。
宿泊施設
島に上陸するには宿泊施設の予約が必須です。
まず宿泊施設を予約し、それから船の予約をするようにしましょう。というのも、繁忙期の土日、祝日の宿は激戦で、あっという間に予約が埋まります。
予定を決めたら、As soon as Possibleで宿を確保しておきましょう。
島には宿が複数あります。簡単に纏めましたので、好みや目的に合わせて選べばいいと思います。
全ての宿と、その宿のイルカ船は御蔵島観光協会のHPで確認できます。各お宿の値段や予約方法は、そちらからそれぞれの宿のHPを見て確認してください。
予約は電話またはFAXで受け付けているところがほとんどで、メールやネットからの受付はやっていません。
だいたい2、3カ月前から予約受付が始まるのですが、週末や連休はあっという間に埋まりますので、予約が開始されたらすぐに予約の電話をしましょう。
大学生や休日の融通が利くタイプの社会人は、平日に行くことをお勧めします。その方が他のお客さんも少ないので、ゆっくりとドルフィンスイムを楽しめます。
ここでは、HPからでは分かりにくい特徴を紹介しておきます。
宿 | 特徴 |
まるい |
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山じゅう |
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御蔵荘 |
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鉄砲場 |
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にしかわ |
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丁や |
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MITOMI |
|
バンガロー |
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食事処
御蔵島にはお食事処がいくつかあります。営業日と営業時間は事前にチェックしておきましょう。
こちらも御蔵島観光協会のHPを見てもらえればと思いますが、お勧めというか、定番を少しだけ紹介します。
私はいつもお昼は「ふくまる商店」「美々庵」「カップ麺」のいずれかだったのですが、やまやさんが再開したということで選択肢が増えました。
宿 | 特徴 |
やまや |
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ふくまる商店 |
|
美々庵 |
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Camburi(カンブリ) |
|
ちぃBar |
|
色々な楽しみ方
御蔵島への旅は、ドルフィンスイム以外にもたくさんの魅力があります。
東海汽船の船旅
まずは東海汽船での船旅。これも楽しみのひとつ。
片道8時間程度を船の上で過ごすので、そりゃ楽しみもいっぱいあります。ただ、往路の船では夜遅くまで遊ばず、ちゃんと寝るようにしましょうね。
東海汽船は竹島桟橋を出港し、東京湾を抜けて太平洋へと出ます。なので、途中にレインボーブリッジの下を通過します。
絶景なので、上の階に上がってみましょう。東京湾から見る夜景は奇麗ですよ。
東京タワーやスカイツリーも見えます。
船内には食堂もありますが、夏はデッキで潮風を浴びながらビールで乾杯するのがお勧め。ただ、周りには迷惑をかけないように気をつけましょう。
帰りはお宿で仲良くなった人たちと宴会しながら帰るのも良いですよ。
山岳ツアー
御蔵島は海だけではなく、山も見どころがあります。
ただ、軽く散策するだけなら問題ないのですが、森に入るにはツアーガイドさんの同行が必要です。こちらも観光案内所で手配をしてくれるので、活用しましょう。
ガイド料はひとり当たり4,000円。もしひとりだけでの参加の場合は7,000円になります。
どういうコースを案内してもらいたいのか、観光案内所のHPで確認して考えておきましょう。予約も事前にしておくのがお勧めです。
夏によく見られる光るキノコは伊豆諸島に行ったら見ておきたい奇麗な光景です。
一人旅でのんびり
御蔵島は新規やリピータを問わず、ひとりで来る人も多いです。
ひとりは寂しいし、怖いし・・・なんてことはありません。同じ宿に泊まり、同じイルカ船に乗ればすぐ仲良くなります。
朝夕食が付いている宿だと、食事も一緒に食べますし、食後はだいたいお酒を飲みながらイルカ談義が始まります。それに混ざるも良し、ひとりで飲むもよし。
各自、思い思いにのんびり過ごしましょう。
私が特にお勧めしたいのは、ドルフィンスイムから帰った後のお昼寝です。
夏でも窓を開ければ心地い良い風が入るので、それを感じながらシエスタします。これがもう、めっちゃ気持ちいい。
泳ぎつかれてるし、仕事だのなんだのと考えることもないので、ものすごく心地よく眠れます。
午前のイルカから帰った後、お昼までシエスタ。午後のイルカから帰った後は、ふくまる商店でジェラートを食べた後にシエスタ。
山に行ったり島内を歩いたりと、めいっぱい島を楽しもうとするものいいですが、日頃のせわしなさを一切忘れて、ひたすらのんびり過ごすのもお勧めですよ。
今年の夏こそ、御蔵島へイルカと泳ぎに行きましょう!
一生に一度は経験したい素敵な体験になりますよ。
読書の習慣がある人は幸福度が高い、らしい。